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フィスコ投資ニュース配信日時: 2025/09/08 13:04, 提供元: フィスコ アイリック Research Memo(4):保険分析・販売支援のプラットフォーマー(2)*13:04JST アイリック Research Memo(4):保険分析・販売支援のプラットフォーマー(2)■事業概要 2. 保険クリニック事業 保険クリニック事業は、アイリックコーポレーション<7325>が「保険クリニック」直営事業及びFC事業、LAが新潟県を中心にLA店舗事業を展開している。保険販売(訪問型、来店型)は競合の多い市場だが、同社は高い契約継続率と顧客満足度を獲得している。これは、同社の「保険クリニック」が保険ショップの新しいスタイルとして「保険IQシステム」を活用し、最良の顧客サービスをコンサルティングから契約までワンストップソリューションで展開しているほか、スタッフの提案力、取扱商品の充実度、契約手続き、アフターフォローなどで高い評価を得て同社の強み・競合優位性となっているからだ。「保険IQシステム」は保険商品の検索・絞り込み・比較を可能にした自社開発のシステムで、2004年4月の完成以降、20年を超える運用実績を誇る業界唯一のシステムである。生命保険の保障内容などを図示したシートにまとめることにより「カンタンすぎる」「わかりやすすぎる」保険選びを追求している。FC事業は、全国の「保険クリニック」FC店に対して「保険IQシステム」を提供するほか、顧客送客、教育・研修、情報提供、店舗運営ノウハウ、プロモーション等のサポートを行い、直営店と同等のサービスを展開している。大手保険ショップで唯一FC展開していることも特長である。 なお、保険募集人がスマートフォンやタブレット等のカメラで撮影した生命保険証券を「スマートOCR」を活用して自動分析する「生命保険証券の自動分析サービス」は、2021年5月に特許を取得(第6887233号)した。また「保険クリニック」は2023年2月に、(一社)生命保険協会が2022年4月より開始した「業務品質評価運営」において、「乗合代理店業務品質調査」の基本項目をすべて達成する代理店として認定された。 保険クリニック事業の主な収益は、直営事業では代理店業務委託契約を締結している保険会社の保険商品販売に伴って当該保険会社から得られる「保険手数料」収入、FC事業ではシステムやサポート利用に対する初期登録料・基本料金・店舗利用料、事業部運営店舗における保険手数料、共同募集に伴う保険手数料、ロイヤリティ売上・その他サービスに伴う売上等である。 2025年6月期末時点の店舗数は、2024年8月に人生設計より譲り受けた6店舗を含めて、合計283店舗(直営74店舗、LA13店舗、FC196店舗)となった。業界3位水準の店舗数である。地域別(合計ベース)には北海道・東北17店舗、関東115店舗、北陸・甲信越28店舗、東海36店舗、関西42店舗、中国・四国11店舗、九州・沖縄34店舗となった。また2025年7月にはブロードマインドより首都圏の来店型保険ショップ「マネプロショップ」11店舗を譲り受けた。首都圏の好立地の店舗が多く、直営「保険クリニック」として運営する。 直近3期(2023年6月期〜2025年6月期)の主要KPIとして、「保険クリニック」直営店の新規来店件数は2023年6月期の14,900人から2024年6月期の17,531人、2025年6月期の20,065人へ、再来店件数は4,483人から6,703人、7,049人へと増加基調である。店舗数増加やWebプロモーション効果で新規来店件数が増加しているほか、コンタクトセンターから既存顧客に対するアフターフォローコールを強化していることも再来店件数の増加につながっている。来店件数の増加に伴い、成約件数も11,459件から14,276件、16,270件へと増加基調である。成約率は58.8%、58.3%、60.0%、1世帯当たり成約単価は201千円、190千円、187千円と横ばいで推移している。同社では約50社の新商品や商品改定など複雑化する保険商品に対応するためコンサルティング能力向上を図っているが、成約率及び成約単価については必ずしも集客数と直接連動しないため参考値として捉えておきたい。また成約単価は保険商品の構成によっても変動するが、近年では老後資金の貯蓄に対する関心度が高く貯蓄型保険の販売が好調である。 3. FA事業 FA事業は、同社が法人、法人経営者及び富裕層向けに保険の有効活用に関する提案や販売を行う法人事業(首都圏で2拠点)、LAが全国22拠点において保険の訪問販売事業を展開している。 4. ソリューション事業 ソリューション事業は、金融機関・保険代理店・企業代理店向け「AS」シリーズの開発・販売、金融機関向け「スマートOCR」の販売を展開している。主力の生命保険の現状把握・検索提案システム「ASシステム」は「保険IQシステム」を汎用化したシステム、保険申込ナビゲーションシステム「AS-BOX」は「保険IQシステム」または「ASシステム」の機能のうち既契約の証券分析機能が搭載されていない簡易版システムである。また企業内代理店・地方公共団体向け「職域ロボアドバイザー」(以下、職域ロボアド)については、2024年5月にリニューアルし、全国の職域マーケット(グループ保険を取り扱っている保険代理店)向けに販売を拡大した。 新商品開発では同社、(株)ドコモ・インシュアランス、及びジェイアイ傷害火災保険(株)の3社で共同開発した「IF-InsurTech(R)火災保険AIスキャンサービス」が、2024年1月にドコモ・インシュアランスの「火災保険詳細見積もり」へ導入された。2025年2月には同社を含む6社(同社、(株)LHL、LHLグループの(株)ライフサロン、(株)ライフプラザパートナーズ、(株)ほけんの110番、AZPower(株))共同で、生成AIを活用した保険業界特化型の情報検索「AS FiNDER」の開発に着手した。保険代理店や保険会社等の保険販売従事者(以下、保険募集人)の業務生産性向上とDX推進を図るクラウドサービスとして提供することを想定している。 ソリューション事業の主な収益は、「AS」シリーズの導入ID数に基づいたシステム利用料(初期登録料、サブスクリプション方式の月額利用料)、保険販売コンサルティング売上、金融機関向け「スマートOCR」売上、その他ソリューション売上などである。 過去5期(2021年6月期〜2025年6月期)の主要KPIとして、「AS」シリーズID数は2021年6月期の8,401(代理店・銀行が4,681、保険会社が3,720)から、2025年6月期の11,615(代理店・銀行が6,784、保険会社が4,831)へ増加した。2025年6月期は保険会社1社が解約となったため合計ベースで前期比551減少したが、代理店・銀行が増加基調であり、全体として高水準を維持している。また「AS」シリーズのサブスクリプション利用料は同じく496百万円から679百万円へと増加基調である。なお金融機関の「ASシステム」導入数は2024年3月に大分銀行<8392>が導入して40行に到達したが、2025年6月期末時点では銀行合併及び銀行グループ会社への事業移譲により38行となった。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展) 《HN》 記事一覧 |