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フィスコ投資ニュース配信日時: 2025/09/09 12:04, 提供元: フィスコ タムロン Research Memo(4):監視&FA関連事業とモバイル&ヘルスケア、その他事業は期初計画を上回る*12:04JST タムロン Research Memo(4):監視&FA関連事業とモバイル&ヘルスケア、その他事業は期初計画を上回る■タムロン<7740>の業績概要 2. 事業セグメント別の動向 (1) 写真関連事業 写真関連事業の売上高は前年同期比9.4%減の29,982百万円、営業利益は同15.8%減の8,403百万円と減収減益となった。粗利率は2024年後半に投入した新機種がフルに貢献したことで改善したものの、売上減による粗利益の減少並びに販管費の増加、円高によるマイナス影響等が減益要因となった。期初計画比でも自社ブランドの欧米向け販売の回復が遅れたことにより、売上高で217百万円、営業利益で296百万円の未達となった。為替の円高影響は売上高で5.3億円、営業利益で3.2億円のマイナス要因となった。 売上高の内訳を見ると、自社ブランドが数量で前年同期比0.5%増の23万台、金額で同8.2%減の165億円、OEMが数量で同5.7%減の42万台、金額で同10.8%減の135億円となった。計画比ではOEMが数量、金額ともに上振れたものの、自社ブランド品の下振れが未達要因となっている。自社ブランドの地域別売上高は前年に大きく伸長した中国向けが16%減と減少に転じたほか、欧州向けが14%減、米州向けが11%減とそれぞれ減収が続いた。日本向けは3%増と堅調に推移した。計画比では欧米向けが下振れ、中国向けが計画どおり、日本向けが若干上回ったようだ。一方、OEMについては交換レンズ市場全体が低調だったことや、受注機種の販売数量計画が前年同期と比較して少なかったことが減少要因となった。自社ブランド、OEMともに平均単価が下落したが、販売機種の構成変化と円高の影響によるものだ。 (2) 監視&FA関連事業 監視&FA関連事業の売上高は前年同期比0.6%減の5,976百万円、営業利益は同7.3%増の929百万円となり、計画比では売上高で476百万円、営業利益で429百万円上回った。販管費は増加したものの、プロダクトミックスの改善や原材料費の抑制など原価低減に取り組んだことで粗利率が改善し、営業利益率は前年同期比1.1ポイント上昇の15.5%となった。 売上高の内訳を見ると、監視カメラ用レンズは前年同期比10.1%増の32億円となり、計画比でも5億円上回った。顧客先の在庫調整が一巡したことや、4K高画質カメラ、顔認証用カメラなど同社が強みを発揮する高性能監視カメラの市場が拡大していることが追い風となっている。FA/マシンビジョン用レンズは顧客先の在庫調整が続いたことで同22.5%減の11億円となった。カメラモジュールは2023年以降に投入した小型カメラモジュールの用途先がセキュリティ市場を中心に拡大しており、同15.3%増の11億円と拡大基調が続いた。ただ、同モジュールを搭載する新製品の立ち上げ時期が顧客先の都合で遅れた影響により、計画比では3億円の未達となった。一方、TV会議用レンズは市場の低迷により同22.5%減の6億円と減収基調が続いたが、計画に対しては4億円の上振れとなった。拠点別売上高の前年同期比増減率は、全体の約8割を占める日本が6%増となった以外は、中国、欧米市場ともに減収となった。なお、販売数量は全体で同12.5%増の59万台となり、計画比でも4万台の上振れとなった。 (3) モビリティ&ヘルスケア、その他事業 モビリティ&ヘルスケア、その他事業の売上高は前年同期比0.2%増の5,755百万円、営業利益は同1.3%減の1,342百万円とほぼ横ばい水準にとどまったが、期初計画比では売上高で255百万円、営業利益で692百万円上回った。利益の上振れ幅が大きいが、増収効果に加えて計画以上にコストダウン等が進められたことが要因と見られる。 売上高の内訳は、主力の車載カメラ用レンズが前年同期比2.2%増の49億円となった。計画比では中国市場での自動車販売低迷等の影響により1億円の未達となったものの、ADAS(先進運転支援システム)の普及を背景に、センシング用途向けに高性能レンズの需要が堅調に推移した。2025年5月に主要顧客の1社であるデンソー<6902>が主催する「2025年度 取引先様感謝の会」において、2度目となる「信頼賞※1」を受賞したほか、同年7月には中国の製造子会社が「原価貢献賞※2」を受賞するなど、顧客先での評価も年々高まっており、今後の取引拡大につながるものと期待される。 ※1 「信頼賞」は、品質やコスト、納期対応などの面でデンソーの事業に貢献した取引先に贈られる賞。車載用レンズにおける安定した品質の提供、グローバルな供給体制の構築、次世代画像センサ向け高難度レンズの立ち上げなどの取り組みが評価された。 ※2 「原価貢献賞」は、コスト改善を通じてデンソーの中国地域での競争力向上に貢献した拠点に贈られる賞で、継続的な改善活動が評価された。 医療用レンズは前年同期比28.8%増の4億円、計画比でも2億円の上振れとなった。同社の強みである極小径や薄膜技術で低侵襲を可能とする製品ラインナップの増加により硬性内視鏡向けレンズが伸長したほか、蛍光フィルターも増加した。その他用途のレンズ(DSC/VC※、ドローン他)は市場の低迷により同29.5%減の5億円となった。 ※ DSC(デジタルスチルカメラ)、VC(ビデオカメラ)。 3. 財務状況と経営指標 2025年12月期中間期末の資産合計は前期末比56億円減少の965億円となった。主な変動要因を見ると、流動資産では現金及び預金が52億円、たな卸資産が9億円それぞれ減少した。固定資産では、有形固定資産が1.1億円減少し、投資有価証券が1.5億円増加した。 負債合計は前期末比21億円減少の177億円となった。主に有利子負債が6.5億円、未払法人税等が10.3億円、買掛金が2.6億円減少した。純資産は同35億円減少の788億円となった。自己株式が18億円減少(増加要因)した一方で、利益剰余金が29億円、為替換算調整勘定が20億円それぞれ減少した。 経営指標を見ると、安全性を占める自己資本比率は80%台と高水準を維持しており、有利子負債比率も2.0%と低水準にあること、ネットキャッシュ(現金及び預金−有利子負債)は前期末比で45億円減少したものの300億円を上回る水準を維持していることなどから、財務の健全性は高いと判断される。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) 《HN》 記事一覧 |